■書籍紹介

労働場面情報保障あり方研究報告書
労働場面情報保障あり方研究報告書

「2009年度 聴覚障害者の労働場面における情報保障のあり方の研究事業報告書」
 という長いタイトルの報告書です。全部で165ページあります。これだけで敬遠しちゃいますねぇ~。でももうちょっと私の話を読んでください。

1.報告書を作った目的
 皆さんは「障害者権利条約」って、お聞きになったことがあると思います。4年前に国連で採択されて一昨年2008年に発効した「条約」です。でもまだ日本は「批准(ひじゅん)」してないんです。
 なぜかというと国内法、つまり今の日本の法律そのままでは「障害者権利条約」に書かれていることをキチンと守れないからです。
 この報告書は「どうしたら障害者権利条約の考え方を守れるか?」ってことを、特に「労働場面における聴覚障害者のための情報保障」という視点から研究したものなんです。
 そして素晴らしいことに第7章では「聴覚障害者の労働場面における情報保障はこうしてください!」って「緊急提言」もしているんですよ。

2.報告書のもくじ
 もくじだけ読んで分かったつもりになってはいけませんが、まあだいたいの内容がイメージできると思うので、以下にもくじと簡単な解説を載せますね。
第1章 調査研究の概要(調査方法などが書かれています。)
第2章 企業へのアンケート調査結果(聴覚障害者を雇用している企業へアンケートを実施した結果が書かれています。)
第3章 訪問調査結果(実際にその企業を訪問して聴覚障害者本人と企業の担当者から聞き取り調査をした結果が載っています。)
第4章 海外調査(今回の調査ではなんと!手話通訳制度が発展している欧米諸国の「聴覚障害者の職場における情報保障制度」についてもアンケート調査をやったんです。)
第5章 聴覚障害者の就労の実態(過去の調査結果などを紹介しています。技大の石原先生の調査結果も載っていますよ!)
第6章 調査結果から見えてきた現状と課題(ここは小見出しも紹介しましょう)
 1.聴覚障害者の労働環境の改善のためのコミュニケーション保障の必要性
 2.手話通訳・手話によるコミュニケーション保障の必要性
 3.聴覚障害のための支援組織・支援体制作り
 4.手話通訳派遣制度の利用促進と公的制度の構築
第7章 聴覚障害者の労働場面における情報保障のあり方についての緊急提言(企業へ向けた提言と、政府・自治体への提言がまとめられています。)
資料集(99ページ以降165ページまでは「資料集」となっていますが、なかなか読み応えがありますよ!とっても勉強になる文章がたくさん載ってます! 一部を紹介します。)
 資料1「障害者介助等助成金」の「手話通訳担当者の委嘱助成金」概要
 資料2-1 岩山 誠氏「聴覚障害者を就労をめぐる現状」
 資料3-1「イギリスの論文集」
 資料4 職場改善好事例集
 資料5 オーストラリアろう者協会「ろう者にやさしい職場を作るには」
 資料6 大阪ろうあ会館事業報告書より
 資料7 第一次調査票
 資料8 第二次調査票

3.緊急提言
 最後にどんな項目が提言として整理されているかを紹介します。
〔企業向け〕
(1)手話通訳派遣制度の有効活用
(2)手話通訳のできる職員の配置
(3)手話学習会の促進(みんなが手話で気軽に話せる環境作り)
(4)障害者支援組織の設置
〔政府・自治体向け〕
(1)「手話通訳担当者の委嘱助成金」の拡充
(2)コミュニケーション支援事業の労働場面への利用促進
(3)聴覚障害者の就労支援体制の充実
(4)障害者差別禁止法および情報・コミュニケーション保障法の制定
 以上です。ちょっとボリュームのある報告書ですが、地域で「聴覚障害者の労働問題」を学ぶときにはとっても参考になりますよ。是非お読みください。
 なお、この報告書をお読みになりたい方は、全通研ホームページの「資料」のコーナー(http://www.zentsuken.net/siryo.html)に全文掲載されていますので、PDFファイル(16.7MB)をダウンロードしてご活用ください。